鵞足炎
- 走ると膝の内側が痛む
- 屈伸運動をすると膝の内側が痛む
- スポーツ後に膝に痛みが出る
- 階段の上り下りが辛い
- 膝の内側を押すと痛みがある
鵞足炎の症状
鵞足は、脛骨近位内側で縫工筋・薄筋・半腱様筋の腱が扇状に付着する部位の総称です。付着部の形態が鵞鳥の足に似ていることから鵞足と命名されました。強大な筋力を有するハムストリングスによる牽引力が鵞足部に繰り返し加わり、その解剖学的特徴から膝関節の屈伸に伴う膝内側側副靭帯の前方線維と鵞足との間の摩擦が繰り返されることによって腱の付着部や鵞足滑液包の炎症を起こすものです。短距離走の選手やサッカー選手にこの疾患が多くみられます。自覚症状は鵞足部の疼痛および圧痛で、症例により膝の屈伸での軋轢音や腫脹が見られることもあります。
鵞足部分に炎症が起こり痛みを感じ、膝の曲げ伸ばしをするときに膝が内側に入る動作(外反)や、膝から下を外側にひねる動作(外旋)をしたときに、鵞足部分の腱と骨、または腱同士がこすれます。特に、走りながら方向転換をする時にこうした動作が行われるので、鵞足部に炎症が起こりやすくなります。
鵞足炎の原因
外反膝や回内足などのアライメント(骨などの位置関係)不良が潜在的に鵞足炎の要因になっているといわれます。ランニングで足を後ろに蹴り出す時、サッカーボールを蹴る時、急な方向転換を行った時などに特に負担がかかるので、これらの動作を繰り返すと発症しやすくなります。
方向転換を伴わないランニングでも、急に長距離を走った時などに起こりやすく、また、膝の位置が悪いX脚(内股)があると、外反動作と外旋動作が繰り返されるため発症リスクが高まり、水泳の平泳ぎのキックでも同様の運動が行われるため、平泳ぎは鵞足炎を起こす典型的な動作といわれています。その他にも、足の内側に重心がかたよるような間違った靴選び、かかとの骨が内側に傾いている「回内足」、衝撃を吸収できないアスファルトのような硬い地面の走行、重心がかたよる坂道の走行なども痛みの原因となります。
鵞足炎の治療
軽症の場合は、膝を使う運動を控えて安静を保つことで炎症が治まり、数週間で自然と治ります。痛みが強い場合は、安静を保ちつつ患部を冷やす「アイシング」を行ったり、シップなどの消炎鎮痛剤を使って炎症を抑えます。痛みが治まってきたら鵞足部の筋肉のストレッチやマッサージをして筋肉をほぐすのも効果的です。
重症時は痛み止めの注射や電気治療なども行われます。急に痛みが発生した急性の場合は、患部をアイシングし、テーピングで固定するようにします。症状が長く続いている場合は、患部を冷やしたり固定・圧迫する行為は血行が悪くなり逆効果なので、患部を温めたり動かしたりして血行を促進します。鵞足炎は再発しやすいので、焦らずじっくり治療しましょう。