肉離れ
- 走っている時に足に痛みがはしった
- 痛みが出た所が歩いても痛い、腫れてきた
- 痛い所の筋肉を伸ばすと痛みが増す
- 肉離れ後にスポーツなどに支障が出る
- 肉離れをよく再発する
肉離れの症状
肉離れとは、筋肉に強い収縮を起こさせるスポーツ動作により急激な張力が筋肉に作用して、筋肉の一部に何らかの損傷をきたした状態です。肉離れの呼称が一般的ですが、正式には『筋断裂』と呼びます。受傷部位は大腿部の裏側の筋ハムストリングスが一番多く約70%を占め、とくに大腿二頭筋長頭が最も肉離れを起こしやすく、続いて大腿直筋、腓腹筋、大腿内転筋となります。
肉離れの症状として特に出やすいのが運動時痛で、ひどい肉離れの場合は足首を動かすだけ、足を地面について体重をかけるだけで痛い場合もあります。軽い肉離れの場合は歩行には痛みがなく、ジョギングやジャンプ、ダッシュなどかなりの運動負荷をかけないと痛みの出ない場合もあります。また伸張痛を起こすことも多く、ふくらはぎの筋肉をストレッチすることで断裂した筋肉の間をさらに広げるような状態になり、痛みを伴います。
肉離れの原因
肉離れが起こるのは、脚の筋力にあると言えます。肉離れが起こる大腿部の裏側の筋肉であるハムストリングスやふくらはぎの腓腹筋は、身体の全体重を支えるため強い筋力を持っています。肉離れは、これらの強い筋力を持つ脚の筋肉が収縮している際に自分が出した筋力に耐え切れず部分断裂を起こすことで発生します。肉離れの原因となる筋肉の部分断裂は筋肉痛も起こっていますが、筋肉痛の場合は筋肉組織を構成する筋繊維が断裂しているもので肉離れのように筋肉組織が部分断裂を起こす場合とは比べものにならないと言えます。
また、試合や練習で疲れた状態で、いつもと同じように踏み切ろうとしたときも、いつものような筋肉の収縮ができないため、筋断裂を起こしてしまいます。
スポーツの前にしっかりとしたストレッチや準備運動を行っておらず、筋肉の伸びや血流が悪い状態で激しい動きをすると筋肉が引き伸ばされることに耐えることができず筋肉を傷めることに繋がってしまいます。ですから、日頃からストレッチをしっかりとして柔軟性を高め、特に運動前には念入りに筋肉の柔軟性を高めておくことが重要です。
季節や気候の影響もあります。気温が低いときは血流がよくなりにくく、筋肉も柔らかくなりにくい環境になります。ですから、いつもと同じストレッチや準備運動をしていても夏に比べて冬は肉離れの危険性が高くなりますので、注意が必要です。
肉離れの治療
肉離れは、応急処置が不十分だったり、リハビリテーションが不適切であったりすると、競技復帰後に運動痛や違和感を感じるなどの後遺症を残すことがあります。再発の危険性もある重篤なスポーツ外傷の一つです。
肉離れが起こったら早急な対処「RICE」をすることが、肉離れ治療の基本です。RICEとは安静(Rest)・冷却(Ice)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)の頭文字をとった言葉で、「横になって安静」「患部の冷却」「患部の圧迫」「患部を心臓より上に挙げる」という応急処置の鉄則を表しています。
アイスパックを使い20分ほど冷やすことで腫れを最小限に抑え、痛みを改善することが出来ます。この際、あまり長く当てすぎないことと事前に霜を拭き取っておくことに注意します。冷やしすぎると凍傷の原因になります。
肉離れが発生してから48時間はRICEに従った治療を継続し、痛みの出る部位をあまり動かさないようにします。痛みが引いてきたら温熱療法や軽い運動、ストレッチなどで回復を促していき、筋の拘縮を予防します。さらに少しずつ抵抗を加えながら膝の屈伸動作の訓練を行います。膝の屈伸動作がスムーズにできるようになったら歩行訓練から徐々にジョギングへ進め、さらに走るスピードをアップしていきます。一度損傷した部位は再発を繰り返すことがあるため、慎重に対応する必要があります。