変形性膝関節症
- 膝を動かし始める時の痛い
- 膝がこわばって動きが悪い
- 膝がきしむ
- 膝に水が溜まる
- 膝が一定以上曲げ伸ばしできない
変形性膝関節症の症状
変形性膝関節症は、膝痛全体の約半数を占めると言われる最も一般的な膝の病気です。
変形性膝関節症の初期症状はごく軽く、朝起きるときや歩き出す時に膝に違和感を感じたり、膝を大きく折り曲げる時に軽い痛みやこわばりを感じる程度ですが、関節軟骨の表面はこの時点で摩擦を受けて毛羽立っています。
このまま症状が進行すると、動作のたびにはっきりとした痛みを感じるようになり、正座ができなくなったり、膝をまっすぐ伸ばせなくなったりします。やがて膝に水がたまり腫れてきて、関節を動かす時ゴリゴリと摩擦音が聞こえるようになります。この段階では、関節軟骨の摩耗が進行して滑膜が炎症を起こし、トゲ状の骨棘という状態になります。水が溜まっているのは、関節液が過剰に分泌されているからです。
関節軟骨が完全にすり減り、骨棘形成が更に進行した頃には、症状も末期を迎えます。ちょっとした動作でも激しい痛みが伴い、外出もままならず、家に閉じこもってじっとする他なくなります。そのため、筋力や身体機能が衰え、精神的にも落ち込みがちになります。
このように、変形性膝関節症とは進行すると身体的にも精神的にも追い込まれかねない病気です。そうならないうちに異常を発見し、治療を開始することが大事です。
変形性膝関節症の原因
膝の関節を形成している骨や軟骨がすり減ったり、欠けたり、形が変わったりして、膝の痛みや動きの制限といった障害が生じるものが変形性膝関節症です。
原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝子も関与しています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。
すり減ることにより蓄積した骨のかけらが周囲の組織を刺激すると炎症が起こって痛みが発生します。また、刺激によって関節内にある関節液という液体が過剰に分泌されると、いわゆる「膝に水が溜まる」状態になり、膝にだるさなどの不快感を感じます。
発症者の多くは女性で50代以上に多く、男性の場合は60代以上に発生することが多いです。
病状が進行してクッションの役割を果たす軟骨が薄くなると、徐々に骨も変形して関節の形が変わっていきます。また、歳を重ねるほど関節をスムーズに動かす関節液の量も減少し、関節の動きも悪くなっていきます。
変形性膝関節症になると、膝の痛みがだんだん強くなることから、膝を思い切り曲げたり伸ばしたりすることが困難になっていきます。そうなると、やがて筋肉や靭帯などの組織が変性していきます。これを「拘縮」と言いますが、拘縮が始まると、膝関節を動かせる範囲がどんどん狭くなり、更に痛みが強くなっていきます。この拘縮があるために、変形性膝関節症一度発症するとなかなか治りにくいと言われています。また、過去の骨折・靭帯損傷・半月板損傷など過去に怪我をしてきちんと治療していなかった場合に変形性膝関節症に発展するケースもあります。
変形性膝関節症の治療
変形性膝関節症の診察は、病院では、問診・脚部の変形や腫れなどの視診、痛む箇所を調べる触診から始まり血液検査やX線検査などを行います。その結果、変形性膝関節症と診断されたら、保存的療法による治療を開始します。とはいえ、一度損傷した関節軟骨をもとに戻すことは出来ません。変形性膝関節症の治療とは、炎症を抑えこれ以上痛みが出ないようにすることを目的としたものです。
症状が軽い場合は痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。膝に溜まった水を注射器で抜いて炎症を鎮める方法もありますが、一時的に痛みを取り除くには有効なもののしばらくするとまた同じ状態に戻りやすくこれだけでは根本的な改善は出来ません。
膝関節の新陳代謝を促して正常な状態に近づけるための治療としては、温熱療法と運動療法が効果的です。温熱療法は理学療法の一種で、患部に遠赤外線やホットパック、電気などをあてて温めることで痛みを抑えます。運動療法は、筋力をつけるとともに膝関節の組織強化をはかるもので、太もも前面の大腿四頭筋を鍛えることで拘縮抑制に繋がります。
保存的療法を1年ほど続けても効果が得られない場合は、手術が検討されます。